自分たちにできること


真珠の光沢は、秋から冬の寒い時期に良くなるため、真珠が最も美しい輝きのときに収穫が行なわれます。
先週末発売したバロックパールは、12月に収穫した獲れたてほやほやのバロックパールです。
既にお手元に届いている方もいらっしゃると思います。
気に入っていただけたけかな。


私は、高品質なバロックパールを、みなさまに身に付けていただいたいという思いから、生産者の元へ行き、バロックパールを調達しています。
高品質なものだけ調達していますが、厳しい検品でふるいにかけると、私たちが「Sクラス」として販売している基準に満たないパールがどうしても出てしまいます。


母貝の中で何年もかけて育ったバロックパールですから、無傷であることは奇跡に近いです。
真珠の卸問屋で扱われているバロックパールを見ても、私たちの基準に満たないバロックパールがほとんどです。


しかも、私たちの基準は、バロックパールをお取り扱いし始めた当時より、レベルが上がっています。
私は、生産者の方と出会うまで、こんなに美しいバロックパールが存在することすら知りませんでした。
そこに置いてあったバロックパールを見た瞬間、ときめいて、めちゃくちゃテンションが上がったのを、今でも覚えています。
そして、記念に、そのバロックパールをいただくことができました。
今でも大切に保管しているのですが、今見ると・・・
ん?テンションが上がるほどではない。。。
悪くはないけど、そこまで良くもない。。。


最初は、単に見慣れてしまったのだと思ったのですが、そうではありませんでした。
あの時、「こんなに美しいバロックパールが存在するなんて知らなかった!」と感動したバロックパールは、今、私たちにとっては普通。当たり前の水準になっています。


つまり、世の中には、本当に美しいバロックパールを知らない人がたくさんいる。なぜならば、本当に美しいバロックパールを「知らない」から。卸問屋でさえ、見る目を持ち合わせてないという事を実感しました。


私たちが「Sクラス」として販売しているバロックパールは、自信を持ってお出ししています。
毎回、たくさんのバロックパールがオンラインストアに並びますが、この品質を調達することは、簡単なことではありません。
バロックパールは、自然が生み出す宝石ですから、とても不安定。収穫をして、貝をあけてみなければ、どんな状態かわりません。真珠養殖の技術が上がっているとはいえ、品質のコントロールはとても難しいのです。
これは受けいれられない...と、生産者の方と何度も何度も話をして、LARICAの水準を共有してきました。


それでも、はじかれてしまうものが出てしまう。そして、はじかれたバロックパールは行き場がなく、私たちだけでなく生産者の負担にもなっています。
ある日、POP UPの打ち合わせの際、伊勢丹新宿店の方に私たちがはじいている販売できないパールをお見せする機会がありました。それをご覧いただいた時の反応は、「え?どこがダメなんですか?」という反応でした。

普段、第三者の方に見ていただく機会がないので、自分たちがはじいているパールは、第三者から見たら本当に些細な問題であるということを実感しました。

そして、「これを販売しないなんてもったいない!」ということで、伊勢丹新宿店が取り組んでいるサステナブルな取り組みの一環として、サステナブルラインとして店頭で販売させていただく機会をいただきました。お客様の反応も、伊勢丹新宿店の方々と同じ反応でした。



「販売できないパールをどうするか。」

これは、ずっと抱えていた課題でした。

少しずつですが、LARICAが考えるサステナブルに共感してくださる方が増え、オンラインでもご注文いただくことが増えてきたことを嬉しく思っています。

「買う」という行為で、応援できることもあります。

生産者を応援したい。

ものづくりを応援したい。

少しお得に購入できるから。

気兼ねなく使えるから。

どんな理由であっても、サステナブルラインを選択肢に入れていただけることが嬉しいです。



何を買うか。誰から買うか。どう買うか。きちんと買ったものを大事にできるか。

それが大切なのだと感じています。

捨てられてしまう可能性があった「基準外」のものを買って、使ってみる。

楽しく、しかも新しい買い物の選択になるようにと、自分たちができることを考えています。




LARICA Director's Blog

アクセサリーのこと。日々のこと。

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